ITILv3準拠の運用管理機能を兼ね備え、さまざまなビジネスロジックを実装できる運用基盤OTRS(オーティーアールエス)は、たった2時間で構築できます。
「日本OTRSユーザ会」を主催するクラウドエイジアが、Linux環境(CentOS 6.5)にOTRS 3.3.10 のインストールをする手順をダイジェストでご紹介します。
今回は、シリーズ1回目です。
(1)AzureでLinuxサーバを起動し、仮想マシンを作成する
Azureにログイン後、Linuxサーバを起動し、次の手順で仮想マシンを作成します。
[仮想マシン](virtual machines) > [新規] > [簡易作成]
■[仮想マシン 簡易作成]詳細
項目名 | 設定値 | 説明 |
---|---|---|
DNS名 | ○○○○○.cloudapp.net | 15文字以内、グローバルで重複なし |
イメージ | OpenLogic | CentOS 6.5を選択 |
サイズ | A2 ( 2 コア、3.5 GBメモリ ) | 必ずA2以上を選択する。セットアップ後のサイズは、A1 またはA2でもOK。 |
ユーザ名 | azureuser | 固定 |
パスワード | △△△△△ | 任意のパスワード。これでssh接続時にログインする |
リージョン/アフィニティグループ | Japan west |
(2)ブラウザ接続できる80番ポートを開放する
初期設定ではSSH接続するための 22 番ポートしか開放されていないため、次の手順でブラウザで接続する 80 番ポートも開放します。
[エンドポイント] > [追加] > [スタンドアロン エンドポイントの追加]
■[エンドポイント] の詳細
項目名 | 設定値 | 説明 |
---|---|---|
名前 | HTTP | |
プロトコル | TCP | |
パブリックポート | 80 | |
プライベートポート | 80 | |
負荷分散セットの作成 | チェックつけない | トラフィックを複数の仮想マシンに分散するには、エンドポイントの負荷分散セットを作成する。エンドポイントのプロパティは、後で変更することも可。基本仮想マシンでは、負荷分散セットは利用できない。 |
DIRECT SERVER RETURN の有効化 | チェックつけない | Direct Server Return は、SQL AlwaysOn 可用性グループの構成に必要な Floating IP 機能用に仮想マシンのエンドポイントを構成する。この設定は、SQL Server の SQL AlwaysOn 可用性グループを使用する場合に必要となる。エンドポイントを作成した後は、設定を変更できない。 |
この後、仮想マシンの作成がスタートします。
(3) インストールファイルを準備する
仮想マシンが立ち上がったら、インストールファイルの準備にとりかかります。
OTRSは、ヘルプデスクモジュールが基本コアとなります。
その後、モジュールを追加する事により(ITサービスマネージメント(ITSM)機能をはじめとした様々な機能を追加できるようになります。
(3)-1 基本ソフトウェアとなるOTRSヘルプデスクのファイルを、次のサイトからダウンロードします。
OTRSダウンロードサイト:https://www.otrs.com/try/
■OTRSヘルプデスク モジュール(基本コア)
ソフトウェア名称 | バージョン | OS | ファイル名 | ダウンロードサイト |
---|---|---|---|---|
OTRSヘルプデスク(OTRS基本モジュール::Core) | 3.3.10 | RHEL/CentOS | otrs-3.3.10-01.noarch.rpm | http://ftp.otrs.org/pub/otrs/RPMS/rhel/6/otrs-3.3.10-01.noarch.rpm |
Fedora | otrs-3.3.10-01.noarch.rpm | http://ftp.otrs.org/pub/otrs/RPMS/fedora/4/otrs-3.3.10-01.noarch.rpm | ||
Suse10 | otrs-3.3.10-01.noarch.rpm | http://ftp.otrs.org/pub/otrs/RPMS/suse/10.0/otrs-3.3.10-01.noarch.rpm | ||
Suse11 | otrs-3.3.10-01.noarch.rpm | http://ftp.otrs.org/pub/otrs/RPMS/suse/11.0/otrs-3.3.10-01.noarch.rpm | ||
Windows | otrs-3.3.10-win-installer-3.0.5.exe | http://ftp.otrs.org/pub/otrs/otrs-3.3.10-win-installer-3.0.5.exe | ||
Source | otrs-3.3.10.zip | http://ftp.otrs.org/pub/otrs/otrs-3.3.10.zip | ||
otrs-3.3.10.tar.gz | http://ftp.otrs.org/pub/otrs/otrs-3.3.10.tar.gz | |||
otrs-3.3.10.tar.bz2 | http://ftp.otrs.org/pub/otrs/otrs-3.3.10.tar.bz2 |
(3)-2 CentOS用ファイルも、ダウンロードします。
[root@localhost local]# yum install wget [root@localhost ~]# cd /usr/local/src/ [root@localhost src]# wget http://ftp.otrs.org/pub/otrs/RPMS/rhel/6/otrs-3.3.10-01.noarch.rpm |
(4) OS環境の設定変更(SELinuxの無効化)
OTRSを動作させるために、SELinuxを無効化します。Root権限でログインしてから、SELinuxのコンフィグファイルを修正して無効化します。
(4) -1 viで、selinuxのコンフィグファイルを開きます。
[root@localhost local]# vi /etc/sysconfig/selinux |
(4) -2 次の場所がSELINUX= enforcingとなっていたら#でコメントアウトしてSELINUX=disabledを追加します。
# This file controls the state of SELinux on the system. # SELINUX= can take one of these three values: # enforcing – SELinux security policy is enforced. # permissive – SELinux prints warnings instead of enforcing. # disabled – SELinux is fully disabled. # SELINUX= enforcing SELINUX=disabled # SELINUXTYPE= type of policy in use. Possible values are: # targeted – Only targeted network daemons are protected. # strict – Full SELinux protection. SELINUXTYPE=targeted |
(4) -3 ESCキーでコマンド入力モードにし、wq入力してEnterを押します。
(4) -4 サーバを再起動します。
[root@localhost local]# reboot |
(4)-5 Getenforceコマンドを実行して、SELinuxが無効化されていることを確認します。
Disabledと表示されたら無効になっています。
[root@localhost local]# getenforce Disabled |
(5) MySQL Serverのインストールと設定変更
OTRSで追加モジュールのインストールを行うために、MySQL Serverのパラメータを変更します。
(5) -1 MySQL Serverのインストール
Root権限でログインし、MySQL Serverをインストールします。
[root@localhost local]# yum install mysql-server |
(5) -2 my.cnfの修正
Root権限でログインし、MySQLのコンフィグファイルを修正します。
viにてMySQLのコンフィグファイルを開きます。
[root@localhost local]# vi /etc/my.cnf |
次の場所に追加します。
[mysqld] datadir=/var/lib/mysql socket=/var/lib/mysql/mysql.sock # Disabling symbolic-links is recommended to prevent assorted security risks symbolic-links=0 # Settings user and group are ignored when systemd is used. # If you need to run mysqld under a different user or group, # customize your systemd unit file for mysqld according to the # instructions in http://fedoraproject.org/wiki/Systemd #set-variable = max_allowed_packet=16M #–set-variable = max_allowed_packet=16M max_allowed_packet=32M <= 追記 [mysqld_safe] log-error=/var/log/mysqld.log pid-file=/var/run/mysqld/mysqld.pid |
(5) -3 ESCキーでコマンド入力モードにし、wq と入力してEnterを押します。
(5) -4 その後、MySQL Serverを再起動します。
OTRSをインストールするための各種要件
OTRSをご利用の前に動作環境をご確認ください。
Operating System | Linux ※.1 | • Red Hat Enterprise Linux 6 |
• CentOS 6 | ||
• Novell SUSE Linux Enterprise 10 , 11 | ||
• Debian 5, 6 | ||
• Fedora 17, 18 | ||
• Ubuntu 10 | ||
Windows ※.2 | • Windows XP (32ビット) | |
• Windows 2008 (32ビット) | ||
• Windows 7 (32ビット) |
※.1 Apche2+mod_perl2が動作する環境であればOTRSは動作可能。
※.2 Win32用インストーラにはOTRSを動作させる必要なコンポーネント(Apache,Perl,MySQLなど)が含まれる。
perl support | • Perl 5.10以降 |
Web server support | • Apache2 + mod_perl2以降 (推奨) |
• Webserver with CGI support (CGIは推奨しておりません) | |
• Microsoft Internet Information Server (IIS) 6以降 |
Database support | • MySQL 5.0以降 |
• PostgreSQL 8.0以降 (推奨:8.2以降) | |
• Oracle 10g 以降 | |
• Microsoft SQL Server 2005以降 |
Web browser support ※3 | • Internet Explorer 9.0以降 |
• Mozilla Firefox 11以降 | |
• Safari 6以降 |
※3 OTRSはJavaScriptのWeb UIのためレンダリング速度の速いブラウザの利用を推奨。
OTRSをインストールするにあたってのご注意
本文は、2014年11月18日時点の情報をもとに、Linux環境(CentOS 6.5)にOTRS 3.3.10 のインストールをすることを前提としています。
OTRSの製品アップデートなど外的な要因にて合致しない部分については、免責事項とさせていただきます。